なぜ年末調整は現金主義(支払日基準)なのか?発生主義ではない理由

年末調整は現金主義(支払日基準)である

結論として、年末調整は現金主義(支払日基準)で計算します。

一般的に、会計や税法上では、「発生主義」という考えが基本となっていますが、年末調整は「現金主義」であるため、実務経験の浅い方は混乱しがちなので要注意です。

では、なぜ年末調整は現金主義(支払日基準)で計算するのでしょうか?

なぜ年末調整は現金主義(支払日基準)なのか

まず、源泉所得税の納付期限っていつでしょうか?

「給与を支給した日の翌月10日まで」ですよね。

納期の特例を受けている場合は、上半期、下半期で半年分となります。
ただし、下半期に限って、納付期限は「1/20」となっています。
ここがキーなのです。

もし発生主義で年末調整する場合、問題が出てきます。

たとえば、「当月末締め翌月払い」の会社の場合です。

これは想像なのですが、12月末で締めた給与の計算は、翌月の正月休み明けになりますよね。そこで、毎月納付の場合は10日まで、納期の特例の場合は20日までに年末調整結果をふまえて源泉所得税を納付するというのは現実的ではないというのがイメージできます。

税務署も正月休みがあるくらいですから、正月休みは考慮に入れているのではないでしょうか。

税務署は12月末から休みですが、期限が月末の届出についても、12月末が期限のはずのものは正月明けの税務署の営業日が期限になっているものが多いです。(例外はあります)

話が逸れましたが、発生主義の場合は納期限までに12月発生分の給与計算を年末調整するのは実務上困難となってしまう場合が考えられるということです。

もし発生主義なら、保守的に考えると、11月発生分までを年末調整の対象にしようという話になります。これはこれで一年分の所得の調整をするというのに、ややこしいことになってしまいますよね。

というわけで、年末調整は実務上の便宜をはかった上で、現金主義(支払日基準)になったのではないでしょうか。

給与の費用計上する側も現金主義なの?

これはもちろん違いますよね。

費用計上は発生主義となります。

企業会計原則に「費用収益対応の原則」が定められているためです。

費用及び収益は、その発生源泉に従って明瞭に分類し、各収益項目とそれに関連する費用項目とを損益計算書に対応表示しなければならない。

労働にて会社の収益に貢献したタイミングは、給与計算の締め日時点ということになります。
この収益に対応した費用を計上しないといけないというルールが、「費用収益対応の原則」です。

費用として計上するのは、実際にキャッシュとして支払われる支払日は関係ないということです。

もし費用として計上するタイミングを、現金で支払ったタイミングにしてしまうと、利益をコントロールできてしまいますからね。

まとめ

実務上の便宜のために、年末調整は現金主義(支払日基準)となっているのではないか。

ここで一点疑問が残っています。

そもそも、源泉の支払いが「支給日の翌月10日まで」ではなければ、発生主義で1月分~12月分の所得を計算できるのでは?
という疑問です。

う~ん、これから自分なりに調べてみて、また別の記事にて書いてみます。

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